ヤミ金業者が「給与ファクタリング」に目を付けた理由

2020年2月と3月に金融庁から給料ファクタリングは貸金業であるべき見解を発表したため、今後はヤミ金と同じ扱いになります。通常のファクタリングとは全くの別物ですので、被害に遭わないためにも概要・事例等について予め知っておきましょう。

給与ファクタリングはやめておけ

罠にかかりそうな人

2019年から2020年にかけて「給料ファクタリング」なるものが登場し、プチ流行した。

給料ファクタリングは法外な手数料を取られる上にトラブルになりやすく登場当初から問題視されていた。
既に2020年2月28日と3月5日に金融庁から法令解釈の見解が発表されており、今後給料ファクタリングは貸金業者しか提供できなくなる。

正規の貸金業者が給料ファクタリングへ参入する可能性は極めて低く、今後は「給料ファクタリング業者=ヤミ金業者」という認識を持ってもらいたい。

通常のファクタリングとの違い

そもそもファクタリングとは、自社が有している売掛金や未収金といった「債権」をファクタリング会社に売却する資金調達のことを指す。

現段階ではファクタリングは合法の資金調達法であり、銀行をはじめとした金融機関や大企業がファクタリングサービスを取り扱っていることも珍しくない。
しかしながら、貸金業でなくても提供できることから民間業者の参入事例も多く、サービスのムラが激しいという点は否定できない。

ファクタリングが流行った理由

銀行はその会社の「将来」「信頼性」を見た上で融資を行う。
つまり、設立間もない会社や赤字が続いている会社は将来性が無い・お金が返ってくる可能性が低いと判断され融資を断られてしまうのだ。

一方で、ファクタリングは「金銭消費貸借契約」ではなく「売買取引」であるため、赤字決算・税金滞納中・新規設立でも利用することが可能という点で大きく異なる。
資金繰りに頭を抱える企業にとって、ファクタリングは大いに検討する価値のある資金調達方法と言えるだろう。

ファクタリングの危険性

なお、ファクタリングの手数料は3~20%ほどが相場だ。
ファクタリングは「将来入金されるお金を前倒しで受け取る資金調達」であるため、当然使えば使うほど実入りが減って行ってしまう。

金融機関や大企業が扱う手数料10%以下の取引であっても、慢性的な利用は融資よりも遥かに高コストになってしまうので注意が必要だ。

給与ファクタリングについて

給与を受け取り嬉しそうな女性

いよいよ本題である「給与ファクタリング」について。

給料ファクタリングは、一般的なファクタリングと同様に債権を専門業者に買い取ってもらうことで現金を得る調達法である。
利用する債権はその名の通り「給料(賃金)」であり、企業で雇用される給与所得者が給料を受け取る権利を業者へ買い取りしてもらう形だ。

言わば「前借り」のようなもので、例えば、給料日は25日だが給与ファクタリングを利用して10日にお金を受け取るというイメージ。
前借りと聞くと軽い印象を持ってしまうが、給与ファクタリングの手数料相場は20~50%と超高額であり、仮に手取り額が20万円だとしたら10~18万円までさがってしまう計算となる。
いかに危険な取引であるかは言うまでもないだろう。

給料前払いサービスとは別物

「給料前払いサービス」と呼ばれる事業が普及しているが、こちらと給料ファクタリングは全くの別物である。

前者は「雇用者と業者側」が予め契約しておき、労働者が同サービスを利用した際は雇用者からサービス提供業者へ直接弁済される仕組みを採る。

つまり、給料支払い者が倒産・資金難の状況にならない限りは回収不能に陥らず、業者は1回数百円程度の安い手数料で対応することが可能となるのだ。

給料ファクタリングは労働者と業者の契約であるため、労働者が直接業者にお金を引き渡さなければならないという点で異なる。(雇用者に通知又は承諾を得ることで給与支払者に支払いを求めることも可能ではあるが、直接回収が原則となっている。)

手数料が高い理由

当然だが、このスキームは業者側に大きなリスクをもたらす。
一度受け取ったお金を誰かに渡すのは誰だって嫌なもの。
それが一か月働いた対価(賃金)であればなおさらである。

そのため、お金を受け取っておきながら給料日に逃げてしまうというトラブルが後を絶たず、ファクタリング業者側が倒産に追い込まれるというケースも全く珍しくない。
つまり、給料ファクタリング業者は高いリスクを負っている上に人件費も嵩んでしまう(回収業務)ため、手数料を高く設定せざるを得ないのだ。

ファクタリング業者を庇う訳ではないが、利用者全てがしっかりと約束を守ればもう少し条件は良くなったのかもしれない。

金融庁の見解

金融庁の入り口

まず大前提として「債権の譲渡」は法的に認められている取引であり、売掛金の譲渡によるファクタリングは合法である。(今後ファクタリング業を営むのが許可制になる可能性は十分に考えられるが…)
もちろん、給料を受け取る権利も立派な債権ではあるのだが、この問題は他の法律にも着目する必要があるのだ。

まず、2020年2月28日と3月5日に金融庁は法令解釈の見解として文章を発表し、給料ファクタリングは貸金業に該当するという認識を示した。

理由としては、

(1)給料は直接本人に手渡すのが原則(労働基準法第24条1項)であり、ファクタリング会社は直接労働者に対し支払いを求めることはできない。
(2)手数料を差し引いた上で金銭を引き渡す契約スキームは金銭消費貸借契約と同様の形であり、反復継続して行うのであれば貸金業法に則った許可が必要。
というものであった。

つまり、直接規制する法律はないものの、他の法律によって実質債権譲渡が出来ないため、貸金業法の適用を受けるということである。

なぜ給与ファクタリングは違法となったのか

ファクタリング業は、2020年時点では許認可等不要で営むことができる。
そのため、小規模業者が次々と新規参入する事態となり、言わば法の盲点をついた「クレジットカード現金化」が普及したときと同じ様相を呈していた。

しかしながら、キャッシュバックや古物売買といった口実があるクレジットカード現金化とは違い、給料ファクタリングは現行法ではどうすることもできない。
したがって、今後給料ファクタリングを貸金業者以外が扱った場合は貸金業法違反(ヤミ金と同じ無許可営業)で罰せられることになる。

さらに、仮に貸金業を取得していたとしても、手数料は利息制限法に基づいた年利換算額以内(年利15~20%以下)に設定しなければならない。
キャッシングと同様の手数料であれば、貸金業者は厳しい審査基準を設けないと赤字を出してしまうため、いずれにせよ続ける事業者は少ないだろう。

まずは雇用者に相談してみよう

土下座する男性

既に給与ファクタリングの運営による逮捕者も出てきており、今後衰退の一途を辿ることが予想される。
今もなお業者自体は存在しているが、もはや闇金と同じものだと考えて欲しい。

次の給料日までどうしても待てない場合、雇用者に事情を話せば前借りに応じてもらえる可能性だってある。
気まずいだろうが、この気まずさこそが「ブレーキ」として働くのだ。

クレジットカード現金化をしまくってきた俺が言うのもなんだが、後先考えずに利用するのだけはやめてほしい。
収入と支出のバランスをしっかりと確認した上で利用しよう。

関連サイト

・国民生活センター「給与のファクタリング取引と称するヤミ金に注意!」
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20200612_1.html

・警視庁「無登録の給与ファクタリング業者」
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/smph/kurashi/higai/yamikin/kyuyofakuta.html

・金融庁「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください」
https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/kinyu_chuui2.html