どうなるクレジットカード現金化需要-AI審査導入の影響とは

海外では一般的なAI審査を用いた「スコアレンディング」ですが、日本でも今後普及していくのでしょうか。今後の借入サービスがどのように変化していくのか、クレジットカード現金化への影響と併せて解説したいと思います。

AI審査とは

AIをイメージした人間

クレジットカードの新規発行や限度額設定の審査は主に人の手によって行われているのが一般的だ。
しかし、人が行う審査の場合、あくまで表面的な数字だけを追いかけてしまったり、感情に左右されて公正性を欠いてしまったりすることも珍しくない。

そのため、近年では「人工知能(AI)」によるスコアリングやランク付けを行うことで、公正かつ客観的にその人が持つ潜在的な能力までをも見抜く『AI審査』が注目を集めている。
当ページでは“AIによる審査がどのような影響を及ぼすのか”について解説したいと思う。

AI審査は甘い?

AI審査には、人の審査とは違って「見た目」「言動」といった事柄は審査されないという特徴がある。人が介入する以上、少ながらず心情や好み等が影響してしまうが、機械であればそのような心配がないのだ。
なお、AIの場合は予め決められた質問を用いて、その人の性格や今後の人生設計までをも読み解こうとする。AI審査は年収よりも“その人がしっかりと返済してくるのか?”といった人間性や性格を重視する傾向にあるためである。

人の審査 如何にリスクを減らすかを重視(年収・勤務先等)
AI審査 年収よりもその人の性格・将来設計を重視

これをメリットと捉えるかデメリットと捉えるかはその人次第ではあるのだが、一般的にはAIの方が審査は通りやすいと言えるのではないだろうか。
年収等を誤魔化すことは出来ないが、予め決められて質問なのであれば対策を立てやすいためだ。

既にAIを用いたサービスも

日本の消費者金融のキャッシングサービスでは、すでにジェイスコア(ソフトバンクとみずほ銀行の共同出資)が『AIスコアレンディング』というサービスを開始している。
これは決められた質問に答えることでAIがその人の“スコア”を付け、当該スコアに応じて貸出限度額を決定するというユニークなシステムとなっている。

なお、世界ではSNSをスコア化し限度額を決定するサービスやCtoC(個人間)による貸付サービス、仕事の報酬を担保にして金銭を貸す等、数々のAIレンディングが既に普及しているようだ。

低コスト運用が可能

AI操作を行う手

与信審査をAIにすることで、人件費を大きく削減することが可能となる。
そのため、浮いたコストは利用者への優遇措置へと繋がる可能性が十分に考えられる。
事実、AIスコアレンディングでは他のカード会社や消費者金融と比べても利率や遅延損害金が低くなっているという特徴が見られる。

AIスコアレンディング 消費者金融A
貸付利率 0.9~12.0% 3.0~18.0%
遅延損害金 12.0% 20.0%

さらに、“待ち時間が不要”“審査に落ちた際でも何が足りないのかスコア結果から詳細を確認できる”といったメリットも挙げられる。

アメリカでは既に一般化

なお、アメリカでは個人間のお金の貸し借りをマッチングさせて借入希望者の与信状況を確認できる「P2Pレンディング」と呼ばれるサービスがある。

今現在、日本では貸金業法により個人から個人への貸付が禁止されているが、高精度の審査がAIによって行えるのであれば個人間での貸し付けもより簡単になるかもしれない。
日本で普及するのはまだまだ先になるかもしれないが、よりお金が借りる手段が増えるのは間違いないだろう。

AI導入が遅れている理由

キャッシング、住宅ローン、事業融資などの貸付サービスに比べるとクレジットカードはAIの導入や普及が遅れていると言わざるを得ない。
貸付サービスの場合は収入や既存の借入金、属性(雇用形態、既婚者など)をはじめ、ファクターごとの審査項目が多く比較的判定が容易であるが、クレジットカードの発行審査は、安定した収入及び信用情報が確認出来れば審査に通ることがほとんどだ。

つまり、 “白か黒か”というAIの2択は実態にそぐわず、より柔軟な審査を行うために人口知能による審査を避けているのではないだろうか。
限度額増額は、細かいファクターを組み合わせるのではなく、年齢と利用額、支払状況をチェックする簡単な項目で済むため、AIに頼る必要性が低いというのも理由としては考えられる。

クレジットカード現金化への影響

クレジットカードとパソコン

キャッシング審査に通る人でも、コストの高いことを承知の上でクレジットカード現金化を活用する人は一定数存在している。理由としては、

  • クレヒスに傷を付けたくない
  • 審査結果を待つ時間がない
  • 在籍確認による会社バレの回避
  • 契約手続きが面倒

などが考えられる。
特に「スピード」に関してはキャッシングよりもクレジットカード現金化の方がはるかに優れていると言えるのではないだろうか。

スピード対応を謳う大手消費者金融でも最短で30分、混雑状況によっては数時間待たされることがあるため、1分1秒を争う緊急時にはクレジットカード現金化が選ばれる傾向にある。
しかしながら、AI審査が普及することでこのパワーバランスが大きく変わる可能性がある。

24時間・365日いつでも審査可能に?

現在、営業時間の兼ね合いもあるので夜間や早朝は審査業務を行っていないが、AIによる自動審査が普及すれば24時間いつでも審査が可能となる。
さらに、AIによる自動審査を行うサービスはWeb完結契約への対応が当たり前になっているため、スマートフォンさえあればどこにいても利用することも可能となるだろう。
従来は駅前などの無人契約機を利用する必要があったが、IT化によって契約に関する手間が緩和されていくことは間違いない。

一点問題があるとすれば、「在籍確認」の問題ではないだろうか。
職場が全休の土日祝日になると本審査は翌営業日まで待たないといけなくなるし、会社に借金がバレてしまうリスクも変わらない。
つまり、スピード審査やWeb完結契約によって一部でクレジットカード現金化のシェアが奪われる可能性はあるが、それでもなお一定数クレジットカード現金化の需要は継続する可能性が高いと言えるだろう。
いずれにせよ、AIの普及状況やそれに伴う緩和措置・動向等には今後も注目していきたい。